署名は、ネットの届かない場所で集めることが少なくありません。修理に呼ばれた家の地下室。訪問先のキッチンテーブル。週末のマーケットの一角。壁が厚く、電波が一本だけ立つ施術室。
多くの電子サインツールは、その逆の状況を前提に作られています。デスクがあって、安定した回線があって、月額プランがある。リンクをメールで送り、相手が自分の端末で開き、どこかのサーバーが結果を記録する。このやり方は、回線が切れた瞬間に止まります。そのうえ、クライアントの情報を他社のクラウドに通すことにもなります。
ここでは、そのどちらもなしで、iPad で署名入りの書類を集める方法を紹介します。接続もアカウントもサブスクも不要です。以下のスクリーンショットは InPersonForms のものですが、大事なのは流れそのものなので、手持ちの PDF があればそのまま試せます。
フォームは一度だけ用意する
いつも使っている PDF から始めます。問診票でも、同意書でも、免責同意書でも、作業指示書でもかまいません。一度だけ取り込みます。その PDF が Acrobat や Word で作られていて、すでに入力欄を持っていれば、それは自動で読み取られます。何かを引き直す必要はありません。

入力欄のない、ただの PDF なら、自分で配置します。名前が入る位置にテキスト欄、日付が入る位置に日付欄、選択肢の横にチェックボックス、いちばん下に署名欄。この作業はフォームごとに一度きりです。あとはレイアウトがテンプレートとして保存され、新しいクライアントは毎回、同じきれいなコピーから始まります。

端末を渡して署名してもらう
クライアントを目の前にしたら、テンプレートを開いて必要なところを記入し、iPad を渡します。相手は指か Apple Pencil で、用意しておいた署名欄に、書類の上で直接サインします。署名は端末上で描かれ、PDF そのものに書き込まれます。あとで照合しなければならない別ファイルとして残ることはありません。

すべてが iPad の中で動くので、電波がなくても関係ありません。サーバーの読み込みを待つものは何もなく、フォームは電波の届かない場所でも、オフィスの Wi-Fi と同じように動きます。
書き出して記録に残す
署名が済んだら、完成した PDF を書き出します。電波の届く場所に戻ったらメールで送ってもいいし、ファイルアプリに入れても、いつも使っている記録システムに送ってもかまいません。書き出したファイルは普通のフラット化された PDF なので、アプリがなくても誰でも開けます。

署名済みのコピーは端末の中に、クライアントごとに整理されて残ります。だから古いフォームも、メールを掘り返さずにあとから見つけられます。
いらないもの
この流れに何が含まれていないかを、はっきりさせておく価値があります。たいてい、手間の原因になるのはそこだからです。
- アカウントもログインも不要。 あなたにもクライアントにも、設定するものは何もありません。
- インターネット不要。 フォームは完全オフラインで動きます。接続が必要になるのは、あとでコピーをメールで送るときだけです。
- サブスクなし。 InPersonForms は無料で始められて、テンプレートを無制限にしたいときだけ Pro へ買い切りでアップグレードします。署名するフォームの数に応じた月額料金はありません。
- データは端末の外に出ない。 クライアントの氏名も、フォームも、署名も、iPad の中に保存され、どこにもアップロードされません。健康・法律・個人の情報を対面で扱う人にとって、これこそが肝心な点です。
デスクから離れた場所で署名を集めるなら、オフライン前提のツールは、肝心なときにいちばん落ちやすい依存を一つ取り除いてくれます。上の流れを、手持ちのフォームでそのまま試してみてください。
InPersonForms は、iPhone と iPad 向けに App Store で公開しています。